TRPGシステムにも色々あってな。という話は、もう皆さまご存じどころか、聞き飽きたことと思う。
「CoCでやるより、そういうことがやりやすいシステムでやった方が良いんじゃない?」なんて耳タコだし、正直な話、CoCがあれば大抵のシナリオはあるし楽しいじゃん、別に金かけて他のシステムなんて触らなくても良いじゃん。とお思いの方が大半だろう。
私に言わせれば「その通り」である。CoCでも「やろうと思えば」何でもできるというのは事実だ。人外キャラクターを作成したって、神話生物の出てこない日常パートをシナリオにして楽しんだって、それで参加者全員が楽しめるなら全くもって構わないわけで。
だからこのブログも、そういった遊び方を否定し、「こっちでやった方が良いよ」と言うためのものではないこと、ご理解いただきたい。
「じゃあ、ロールプレイをしたい、ちょっと特殊な設定を扱いたい、っていうニーズに応えてくれるシステムって、実際あるの?」とお思いの方が居るのなら、ちらっと私の知っている世界をご紹介したいのである。
そのちょっとした“興味本位”、「まあちょっと見てやろうかな」くらいの気持ちで見て頂きたい。
さて、前置きが長くなってしまうのは私の悪い癖だが、そろそろタイトルを回収したい。
昨今はキャラクター同士のロールプレイでの掛け合いを楽しむシナリオや、遊び方が増えているように感じる。要するに、「ロールプレイ重視」の遊び方だ。その中で、キャラクター同士のエモーショナルな関係やストーリーを描く「エモ系」シナリオというのもよく話題に上がっている。
ならば、ロールプレイ重視やエモい掛け合いがやりやすいシステムを纏めれば需要があるのでは? と、思い立ったので、少し纏めることにした。
初めは「エモ系」で絞ろうかと思ったのだが、エモくなるかどうかはシナリオ次第なので、ここでは「ロールプレイ重視」の遊び方がしやすいシステムに絞って紹介させていただこうと思う。
◆銀剣のステラナイツ
価格:1、980円(税込)
PL人数:2人~4人
カンタンさ:★★★☆☆
ロールプレイ重視:★★★★★
武具に変身する能力を持った「シース」と、シースが変じた武具に身を包んで戦う「ブリンガー」のふたりで一組のペアとなり、世界の破滅を招く敵と戦うシステム。ロールプレイ重視の物語をよりドラマティックにするために、クライマックスでの戦闘が用意されている。
シースはブリンガーが居なくては戦えないし、ブリンガーもシースが居なければ戦えないわけで、要するにペアとなったふたりは必ず「互いにとって掛け替えのない相棒」となることが最初から約束されているのである。どれだけ相性が悪くてケンカばかりする仲でも、戦うときは一心同体。だからこそ演出できる「エモ」があるとは思わないだろうか。
そして、戦いの前にはふたりの日常を描くシーンが入り、ペアとなったふたりだけで演出する。どんなに甘いロールプレイをしようが邪魔も入らないし、他のプレイヤーキャラクターの邪魔にもならないわけで、そのあたりよく考えられたシステムだ。
また、一組のペアが日常を演出している間、他のペアのプレイヤーは「観客」となり、演出が良いと思ったらふたりに「ブーケ」というリソースを送る。このブーケが多ければ多いほど、戦闘で有利な効果を使うことができる。そのため「どんどんエモい掛け合いをしろ」と言わんばかりのシステムだ。
また、少し特殊な世界観のため、亜人や獣人、怪異、果ては人造人間などのキャラクターを作ってもOK。データ上の性能差はないが、キャラクター作成の自由度が高いのも、このシステムの良いところだ。
◆アンサング・デュエット
価格:1、980円
PL人数:主に2人用
カンタンさ:★★★★★
ロールプレイ重視:★★★★★
日常と隣り合わせの危険な世界、“異界”。その異界の真の姿を見る能力を持つ「シフター」は、その力ゆえに異界に巻き込まれやすい性質を持つ。特に特殊な力を持っているわけではないものの、シフターを想う強い心を持つ「バインダー」は、異界からシフターを助け出す唯一絶対の命綱となる……。そのためこちらも、「相手にとって唯一無二の存在」であることが確定する。
初対面だろうが微妙な関係だろうが、シフターとバインダーのふたりでなければ異界から抜け出すことはできないのだ。バインダーはシフターの身体に触れることで、異界の真の姿を同じく見ることができるため、自然なスキンシップロールプレイもできる。
特筆すべきは「フラグメント」と「変異」のルールだろう。プレイヤーキャラクターはその人をその人たらしめる要素「フラグメント」を持つが、異界の影響を受けるごとに、これが別のものへと「変異」していく。隣にいた人の髪が突然変色してしまったり、体から花が芽吹いたら……? CoCの「発狂」、エモクロアの「共鳴」が好きな人は、その魅力が分かることと思う。
このシステムは基本的にGMとPLの2人、あるいは専任GMにPL2人の少人数向けのシステムのため、濃厚なロールプレイを楽しみやすいものとなっている。人数が少なければ少ないだけ、時間に追われずキャラクターの掛け合いを楽しむことができるだろう。
◆ケダモノオペラ
価格:3,300円(税込)
PL人数:1~2人
カンタンさ:★★★☆☆
ロールプレイ重視:★★★☆☆
“闇の森”に棲む、永遠を生きる人喰いの“ケダモノ”を演じる、ナラティブ系TRPG。
暗黒童話TRPGと書いてあるが、別に継母が真っ赤に熱した鉄の靴を履いて踊り狂ったとか、魔女を石窯に放り込んで焼き殺したとか、そういう物騒なことばかりするためのシステムではない。
プレイヤーが操作するのは完全な人外、人を喰らう巨大な獣、“ケダモノ”である。彼らは強力な力を持ち、神話の時代から生き続けている。神のような存在は別に居るが、その強大な力ゆえに、喰われることを承知で人間が頼みごとを持ってくることさえある。
このシステムは、セッション中に入手する〈予言〉の言葉をロールプレイに取り入れながら、自分の描きたいシナリオの結末を作っていく。
だから大体は「神のごときに強大でありながら、契約や予言や運命に縛られた存在」をロールプレイする。これがなかなか楽しい。ケダモノがハッピーエンドを望もうが、プレイヤーが望むなら救いたかった人間は死ぬし、大切に守ってきたものは失われる。その逆もまた然りである。シナリオをそのまま読み上げるのではなく、ままならない神の視点に立って、自分だけの神話を形作っていく、独特な遊び方が楽しいゲームだ。
なお、このシステムはユーザーフレンドリーで、公式ページにはルールブックがなくても簡単に体験ができる「体験ルール」が公開されている。時間もそんなにかからないものが多いので、ぜひ一度体験してみて頂きたい。
最後に
当ブログでは他にも、無料で遊べるTRPGや、少しユニークな世界観を持つTRPGを紹介している。ご興味があれば、見て頂けると嬉しい。