温森おかゆの雑文倉庫

主にTRPGについての個人的集積。

「目に留まれ!」オンセに誘われるコツ

 最近オンラインセッション応募サイトのコメント投稿で、「もっとたくさんのTRPGシステムに触れてみたいが、初心者歓迎卓がないことがネックである」といった嘆きを見かけたことがある。
 大いに共感する反面、そういった希望になかなか沿えない側の立場としてのある程度の理由を鑑みると、軽率に初心者の方に声を掛けさせていただくこともできない事情はあるため、システム経験者にとっては非常に悩ましい課題の一つである。

 

 初心者に声を掛けたり、初心者歓迎卓を主催するシステム経験者も、人間である以上は、「なるべく礼儀正しく、最低限のマナーを守れる人で、かつこちらの指示やお願いを聞き入れてくださる温厚な初心者さん」とセッションを行いたいというのは当然の願望である。
 要するに、初心者でも経験者でも同じことだが、「楽しませてもらおう」というのではなく、「ともに楽しもう」という意欲のある人とセッションを行いたいわけである。
 そして、「初心者を招き入れづらい」と言うのは、初心者ゆえに経験者とのかかわりが薄いことから、その初心者の方がTRPGプレイヤーとして最低限度の条件を身に着けてくれているのか、と言うことが非常に分かりにくいことも大きな原因の一つなのだ。

 

 そういうわけでちょっとリアルな事情をご説明したところで、遠回しに自分から経験者に自分を売り込むアプローチをかけてほしいと投げられた初心者諸氏に、

システム経験者の目に留まり、多くのシステムになるべく触れる機会を得るためにはどうすればいいのかについて、私が個人的に思う「経験者に声をかけてもらうための方法」を、経験則も交えてここにつらつら書き記しておこうと思う。
 異論は認める。

 

◆どのような人が求められるのか

 身も蓋もない話だが、初心者獲得は得難い機会だからと言って、誰でも歓迎、どんなに無礼でシナリオ崩壊プレイが好きなプレイヤーでも大丈夫です、とは、とてもではないが言えないのである。とはいえこれは極端な例であり、ほとんどの方はここに書いた「無礼」に当てはまるようなことは無いだろう。「ドキッ」とはしないはずだ。わざわざこんな場末のブログに辿り着いて、こんな冗長な文章をここまで読んでいらっしゃる方ならば。

 TRPGというのは、いかんせん人と人が関わり合って初めて成り立つゲームである。要するにシステム経験者も、いくらなんでも、ある程度同じシステム上で時間をかけて積み上げてきた、自分の周りの人のつながり……ここでは「サークル」と呼称する……に、下手な人を招き入れて波乱を起こすわけにもいかないのだ。

 ……さておき、そういったことも含めた様々な事情で、経験者の方も、できれば「礼儀正しく、和を乱さず、共に楽しめる」人を求めるわけであり、これはどの環境に行こうと普遍の事実である。
 私がここで述べていることは、何も初心者に限った話ではない。繰り返し言うが、「礼儀正しく、和を乱さず、共に楽しめる人」というのは、初心者でも経験者でも同じく求められる条件なのである。
 要するに、「初心者としての最低条件」ではなく、「TRPGプレイヤーとしての最低条件」と言い換えてよい。

 

 では以下に、「自分はTRPGプレイヤーとして礼儀正しく、和を乱さず、ともに楽しもうという気持ちがある人です」と外部の人に知ってもらうための方法を、いくつかご紹介させていただく。コンベンションなどオフラインセッションになると、参加費を払えば参加可能であることも多いだろうから、ここではSNSなどネットを利用してセッションに関わる「オンラインセッション」に関するやり方のみとする。

 

〇プロフィールを整備しよう

 読者諸氏が今のところ、どの方法を使ってTRPGセッションに参加しようとしているかは、私の想定するところにない。SNSや、交流サイトなどを用いている方がほとんどであろう。

 人と人が交流するサイトには、当然のごとく自分の発信する内容や、自分自身に関する情報を簡潔に自由に書いておくことができる「プロフィール欄」というものがあるはずだ。まずはとるものもとりあえず、このプロフィール欄をきっちりと必要な情報で埋めておくことをお勧めする。

 この辺りを几帳面に書いておくほど、プロフィールを閲覧した相手に判断材料が増え、それだけ話しかけてもらえる確率が増える。
 特に自分のプレイ嗜好、どのようなシステムに触れてみたいか、シナリオはどのようなものが好みか、こういったことはしっかりと書いておくとよい。

 

〇自己紹介シートを発信

Twitter、現Xに属するTRPGプレイヤーは、時折「#TRPG自己紹介シート」というハッシュタグをつけて検索しやすくしたうえで、TRPGでの自身のプレイ嗜好や好み、地雷といった情報を画像に簡潔にまとめて発信していることがある。
 あれはよい手だ。ああすることで同じ好みを持った人と繋がれる可能性が上がるし、初めてあった人にも本人の情報が分かりやすい。お互いにWIN-WINなやり方である。
 自己紹介シートの発信も、言ってしまえば上記のプロフィールを整備することと同じく、初めて自分を見つけた人に対して、自分の情報を少しでも多く知ってもらうことに重きをおいた方法だ。
 合うだけでは、すれ違うだけでは多くの場合発展しない。初対面で「自分を知ってもらう」ことこそ、重要なのである。

 

〇コミュニティに参加してみよう

 交流サイトやSNSには、同じ目的や事情を持った人同士が集まるコミュニティがいくつか存在していることがある。TRPGにおいても、クトゥルフ神話TRPGをプレイしたい人どうしで作られたDiscordのサーバーが存在していることもある。
 特定のシステムをプレイしたい人が集まるコミュニティをはじめ、土日にセッションを行うことが難しい方のために平日に開催されるセッションの募集を行うもの、システムの中でも特定のプレイ嗜好に合わせたセッションの応募情報が集まるもの。さまざまだ。
 まずは自分の目的や嗜好に合ったコミュニティに属してみるとよい。
 コミュニティと言うのは、同じ条件、同じ嗜好、同じ興味を持つ人が集まりやすいため、自分と合う人が見つけやすい手段だ。
 コミュニティに属する場合は、そこで設定されているルールを確認し、従っておけば、大体は好印象を抱かれるはずだ。


〇コメントを投稿しよう

 かつて、オンラインセッションサイトに登録し始めて間もないころ、私はブログの内容と同じような、堅ッ苦しいコメントというか、ダイアリーをつらつら書くだけ書いていた。どれもボヤきのような生真面目さのあるものだ。
 まあとてもではないが、今からしてみればマトモとは言い難いような、恥ずかしいものだったが……何度も何度も書いているうちに、そのダイアリーがとある経験者の方の目に留まり、息抜きにセッションでも、とお誘いを頂いたことがある。
 ……要するに「情け」を書けるほど見苦しいものであったことは間違いないわけだが……それがきっかけで、その方からの紹介もあって、私はオンセサイトの中で沢山の人と知り合うことができた。
 理想と現実のギャップに苦しんでいる心境の吐露でも、いや、あるいはそんな内面をさらけ出した、冗長でつまらないダイアリーだからこそ、私という人間が他の人に知ってもらえ、ある程度の判断材料となったようである。

自分のプレイヤーキャラクター(PC)を知ってもらおうと思った時、まずPCの言葉で「話す」というロールプレイを行うことが多いと思う。
 交流サイトでダイアリーを書く、コミュニティで発言する、プロフィールを書き込む、そこでのあらゆる言葉は、ロールプレイと同等の効力をもって「あなた」というプレイヤーを他の人に知ってもらうための情報源になることは間違いない。

 私も、オンラインセッションサイトで初めて関わる人はまずプロフィールを見る。次に、足りないと思えばその人が発したコメントのログを見る。
 その人が発信した情報のひとつひとつは、セッション前にその人の人となりを知る上で大切な情報源となるのだ。案外これがばかにならないもので、プロフィールだけでは見えてこないことも、容易に浮き彫りになることもある。

 それから、本人が不特定多数が利用する場所で発言すると、単純に話しかけやすいという事情もある。
 本人が話題を提供していることがあるからだ。そのコメント内容が何かにもよるが、例えば現在興味のあるシステムについて、まだやったことは無いのだがやってみたい、と言う旨の発言を見つけて、そのシステムが偶然にも自分が知っているシステムだった場合、少なからず印象に残るはずである。

 まあ色々と長い話だったが、要するに、臆せず何か発現するだけでよい。諸氏がどのような言葉を発信するにしろ、少なくとも私の書くこんな堅苦しいものよりよほどマシなものだろう。


〇どこでも礼儀正しく、マナーよく

 誰かからコメントが来た時。自分から、何かのセッションに応募する際。まずは礼儀正しくすることが一番大事だ。開口一番タメを使って来るような人を、大抵の人は警戒する。
 礼儀と言うものは、人として人と関わり合う場合に至極当然のスキルであり、人と関わることが必須となるTRPGでも、言わずもがな重要になってくる。
 また、マナーだが、返信する必要がある相談などにはなるべく迅速に返答を行ったり、他者が快くコンテンツを利用できるように、最低限の心配りを忘れないようにすることも大切である。
 主な目安だが、私は「ありがとうございます」と「すみません」が適切な場面、適切な時、適切な場合に使える人ならこれは大半クリアしていると見ている。

 

 さて、ここまで、システム経験者に声をかけてもらうために自分をアピールする方法を長ったらしく説明してきたが、こんな長ったらしく堅苦しい文章をここまで読んできた方なら、もう大丈夫だろう。
 というのも、私がここまで説明してきたことよりもよほどいい方法が、諸氏にはもう浮かんでいるはずである。それなら、私から言うことはもう特にない。
 導きの手を求める、尊き初心者の方々が、良き出会いに恵まれることを、心から願っている。