温森おかゆの雑文倉庫

主にTRPGについての個人的集積。

地蔵について

 地蔵、と呼ばれるTRPGプレイヤーが居る。
 ありていに言ってしまえば、セッションに参加していながらコミュニケーションをとらない、喋らない、戦闘の時などに出てきてただただダイスを振るだけという謎につつまれた存在であり、本人にとってのセッション参加への意義ややる気を疑われ、オンラインセッションでは片手間に別のゲームや作業などをして集中していないことまで疑われる、いわゆる「正直言うと場にだいぶそぐわない危うすぎる存在だが、本人がそれで満足しているのなら周囲はあまりきついことを言えないぶん、少々扱いづらいプレイヤー」の類だ。

 簡単に言うと、周囲とのコミュニケーションやゲーム参加への意志や行動が希薄な地蔵は、迷惑なプレイヤーの1歩手前と言える。
 一般的にはセッションの雰囲気を著しく破壊しないため、プレイヤーとしてはまだともに同卓できるタイプではあるが、私は正直こういうタイプはほとんどの場合「放置」が一番安定だと思っている。

 私は個人的に地蔵プレイヤーに関しては非常に「嫌い」な部類に入るので、今回は厳しい意見も出すため注意していただきたい。あくまで「私見」のため、ここに書いてあることを何も考えずに参考にすることも危険である。

 

 さて、地蔵プレイヤーにも、実はその実態に幾つか種類があるらしいのでここに主な個人的対処とともにまとめていこうと思う。

 

◆周囲の人の発言に圧されて喋れなくなったちいさくてかわいい人

 同卓者がよほど手慣れていたり積極的だったりした場合には、普段は楽しく参加できる人でもこうした状態に陥ることがある。
 自分が言う前に他の人がGMに提案をしている。自分が喋る前に他の人が答え、喋っている。それを見てだんだんとフェードアウトしていくのだ。ボイスセッションでも、テキストセッションでも、こうした現象は起こる可能性がある。

 こうした人の特徴は、喋らない以外特に問題がないということが多い。一言二言話しかけてみればちゃんと回答が返ってくるのに、ぜんぜん喋らないな……と思ったらこのケースを考えてもよいだろう。
 解決法だが、このタイプに関しては「放置」はあまり得策ではないと思う。名指しでロールプレイを促してみれば、いくらか改善されるはずだ。

 

◆システムに不慣れでいっぱいいっぱいになっている初心者

 その人にとって不慣れなシステムをプレイしている場合、ロールプレイをする場面では楽しそうに喋っていたのに、戦闘や、判定のときになると黙り込んでしまった場合、何かわからないことや、悩んでいることがあって、本人が混乱状態に陥っている可能性がある。

 そう言った場合も「放置」は危険だ。放置し続けていると、間違ったルール解釈のまま進んでしまう場合がある。いったんシーンを止めて「何かわからないことはある?」と声をかけてみて、その人の意見を傾聴するとよい。

 

◆ロールプレイや判断に迷って止まりがちな長考タイプ

 いわゆる「完璧主義プレイヤー」であることが多い。悪気がないだけ困るタイプだ。

 悪気がないのを放置もあまり良くはないので、時間があるなら意見を傾聴するなり「今あなたにはこことここに行く選択肢があるよ」と選択肢を提示するなりとやりようはある。(選択肢を提示すると自分独自の答えを探し始めてさらに酷くなるタイプもいるようだが)

 ただ、時間がないときはGMはシーンをいつでも切る権利がある。「申し訳ないけれど、時間がないから進ませてもらうよ」と言って切るとよい。そこで文句を垂れる分は、有限の時間の中で長考で時間を潰した当人の責任と理解してもらうしかない。時間は常に有限だ。その辺りはごまかしがきかない。

 私に言わせれば「下手の長考 休むに似たり」だ。

 

◆その場の雰囲気を楽しんでいるほんわか地蔵

 同卓者からしてみれば「見学席へ行け」と言いたくなるが、実際こうしたタイプは存在しているらしい。わざわざキャラクターシートを作成してセッションに参加して、参加者枠を一人分圧迫した立場で「観客」を装い始める奇妙なご趣味を持った人だ。

 ご本人はそれで本当に楽しいらしいので、ロールプレイを無理に強要したりせず「放置」して差し上げるのが無難である。

 

◆他事をし始めている人

 いわゆる「ながら」「内職」などと呼ばれる一番論外なパターンだが、ちゃんと上記3つとは明らかに違う特徴を持っているため、いくらか見抜きやすい。

  1. 話しかけても数十秒から数分応答がない。
  2. 自分からの発言を全くしない。露骨に避ける。(雑談をしない)
  3. ロールプレイをしたくないのであえて単独行動をはじめ、孤立する。

 たとえ他事をしていなくとも、上記の行動をやらかしているようなら少なくとも疑われると自覚した方がよい。そうではないとちゃんと自ら事情を説明しないのであれば、私に言わせれば同じことだ。

 TRPGはどうしても暇になる瞬間と言うものがある。それはオフセッションでもオンラインセッションでも同じだ。GMがひとりのPLに話しかけて、ロールプレイを促したり、PLが判定をし始めたりした際、数分から十数分くらいの時間は空く。

 そういった際に、ついつい暇になって手元のスマートフォンを触り始めてしまう人はいる。別に手元のスマートフォンをさわるな、などというつもりはなく、その後話しかけたりしてみたときにちゃんとスマホをおいて、答えてくれるのなら問題はない。
 オフセッションでは手元で何をしているかが分かりやすいため、話しかければ本人がちゃんと戻ってきてセッションに参加し直すことは多い。

 これが問題になりやすいのはオンラインセッションだ。オンラインセッションでは相手の顔も、今「何をしているのか」も分かりにくい。そのため、別の画面でオンラインゲームに興じていたり、スマートフォンを延々と弄っていたり、別の作業をしていたり、仕事をしていたりする時があるようだ。

 そうして反応が遅く、そして少なくなるため、最悪その人の手番やシーンが来るたびにセッションが停滞する。その人への簡単な確認ひとつに、数分は時間がかかるのである。
 はっきり言うが明白な「迷惑行為」だ。TRPGという、コミュニケーションが不可欠なゲームでそのような他事をし、コミュニケーションをおろそかにして他者に迷惑をかけるのならTRPG自体を慎んでいただきたい。ゲームもスマホもやるなとは言わないが、自分の欲張りでセッション全体に迷惑をかけるのは論外なので、私は特徴が一致した瞬間その時点で放置する。他事をやっているだけこちらから話しかけても迷惑だろうという気を遣っているのだから寧ろ感謝して欲しいくらいだ。

 このタイプこそ、放置するのが一番よい。そもそも本人にコミュニケーションをとる気も、参加する気もないのだから、GMが構ってしまったら他のPLもその「やる気のない人」を構わなければならなくなる。PLとして構うのは自由だが、GMとしてはあくまで無視を決め込んでやった方が安全だ。