温森おかゆの雑文倉庫

主にTRPGについての個人的集積。

キャラクター作成のバランス感覚

 今回は、「強すぎて他者の見せ場を奪うこともなく、弱すぎて他者を危険な目に遭わせることもない程度のキャラクター作成は、プレイヤースキルのひとつである」という私の持論について少々語らせていただこうと思う。が、これはあくまで私の自論であって、同じ考えを持つ人ばかりでないことも知った上で話すつもりなので、これが正しいと人に押し付けるためのものではないとご了承いただきたい。

 レギュレーションの範囲でできる限り強力なキャラクターを作り、チームの生存力を確保する人がいれば、それだけ他者がキャラクタービルドに遊びを入れられるということでもある。
 逆にキャラクターの性質に合わせて、ちょっと遊びで使わない技能を取得したり、特殊なスキルを取得したりすれば、それを元にしたロールプレイも魅力的に映るだろう。

 私が言いたいのは、そういった自由や強さを確保しつつ、皆で“協力して”遊べる程度のキャラクタービルドを組むことは、それもまた他のプレイヤーやゲームマスターへの「尊重」だと思う、ということである。

 ゲームマスターが用意したエネミーを一人で蹂躙してしまうようなキャラクターを作成し、ゲームマスターや他のプレイヤーが不満を感じてしまったり、逆に一人、使いようのないようなスキルの組み合わせやステータスでプレイヤー枠を圧迫し、他のプレイヤーのキャラクタービルドの自由を狭めるなど、そういった事故は時折聞く。

 

 これが正義とまでは言わないが、少なくとも私は、敵のキャラクターを含めた他者の見せ場を奪うほどに強すぎもせず、他者の負担を大きくするほどに弱すぎもしないプレイヤーキャラクターを作成することは、一種のプレイヤースキルだと思っている。あくまで「プレイヤースキルのひとつ」としているのは、それが万人に当てはまることではないと理解しているためである。

 ダブルクロス3rdというシステムに当てはめて言うが、やろうと思えば敵を完全に封殺してしまうデバフエフェクトを満載にしてゲームバランスを著しく壊すことも可能なのだ。その派手と言うか、ある意味大雑把なバランス感覚は時に問題を呼び、たびたび議題にあがるほどである。逆に、セオリーを完全に外してしまえば、どうやったって使いようのないキャラクターも作れてしまう。
 この点に関して言えば、やろうと思えばクトゥルフ神話TRPGでステータス総合値130以上の化け物から、チビ(低SIZ)でヒヨワ(低STR)なダメージボーナス0軍人、ソード・ワールドでMPを持たないグラスランナーのソーサラー(魔法使い)といった、チート使いから茨の道まで歩こうと思えば歩けるのが、TRPGの面白いところだろう。

 その中で私は、あくまで「至ってセオリーを外れない、キレイな構成をしておこう」と決めたのである。
 前衛を選ぶ人が多ければ後衛を。範囲攻撃が必要ならば範囲攻撃を。回復役が必要ならば回復役を。他者のキャラクター作成を見ながら、自分なりに“協力”して遊べるビルドにする。セッション中誰がどんな役割を担うかを想像して、その人に足りないところを補ってもらうつもりで作成する。そうすると、よほどバランス調整が狂ったシナリオでもなければ、問題なく楽しめるものだという持論がある。

 

 一応、弁解しておくが、TRPGのシステムはゲームバランスが狂っているとか、そういう話ではない。データの集積であるルールブックを片手に、一般人の知力で概ね楽しく遊べるだけでもゲームとして十分であると思うし、ゲームバランスのその辺りは、GMやPLによる経験とバランス感覚の問題だと思っている。

 ちょっと強すぎたりちょっと弱すぎるくらいで問題になることは、実際のところ少ない。たいていは個人個人の「バランス感覚」で調整しているだろう。

 

 先述の「強すぎるキャラクター」や「弱すぎるキャラクター」を作成し、かつ、問題まで起こしてしまう人は、ひとつの共通点があると思われる。
 キャラクターを作成するときに、自分が「こういうキャラクターを作りたい」という欲望に忠実なばかりで、他者がどのようなキャラクターを作成してきているか、他者がどのようなことをやりたがっているかをほとんど気にしないのである。
 要するに「協調性」とか「バランス」とかいうものが全くない。

 協力型のTRPGで、「範囲攻撃型」「防御型」「単体火力型」といったスキルの組み合わせによるキャラクターの「役割分担」が明白になるゲームをやったことがある方ならご理解いただけるかもしれないが、大抵はそういうセッションにおいて、キャラクター作成のときに多少なりとも役割分担のために相談をする。相談をしなくても、周囲のキャラクタービルドを見ながら、「自分はこうしよう」と調整しながら作成していくはずだ。
 その調整を全く気にしない、ある意味協調性に欠けるキャラクター作成を行ってしまう人は、大体まかり間違ってそういう“協力”を放棄してしまったために問題を起こしてしまう。

 

 まあ、何が言いたいかと結論をまとめれば、協力型のTRPGでのキャラクター作成を行う場合は、他者がどのようなキャラクターを持ち込むつもりなのかを見ながら、その人たちと役割分担をするつもりで作るととても楽しいと思うよ、ということだ。